GyroEye iOS
業種:造船業(船体ブロック製造)
活用技術:OCR・3Dモデル自動生成・AR表示(GyroEye)
特記:AR技術で特許取得済み(特許第7146221号)
船体ブロックの製造現場では、「外板治具表」と呼ばれる図面をもとに、治具の位置や高さを読み取りながら準備作業を進めています。
この図面は発注元から紙またはPDFで提供されるのが一般的ですが、その運用には長年にわたり見過ごされてきた構造的な課題がありました。
イワキテック株式会社様(以下イワキテック様)が直面していたのは、次のような現場の悩みでした。
これらは「熟練工の経験と勘」に頼ることで何とか回ってきた課題であり、裏を返せば、人手不足や技能伝承が進まなければ製造品質そのものに影響しかねないリスクでもありました。

イワキテック様はこの課題に対し、OCR・3Dモデル自動生成・AR表示を組み合わせた独自システムを開発されました。
独自システムでは紙・PDFの2D図面を、現場で誰もが直感的に理解できる3D表示に変換する仕組みを構築し、「GyroEye」を使って作成したデータを可視化、現場活用としてご活用いただいています。

イワキテック様はPDFの外板治具表をOCRで読み取り、グリッド上に配置されたピンの位置と高さを自動的に3Dモデルとして生成するシステムを開発しました。
ピンの配置がXY平面上で1m間隔または50cm間隔という規則性を持つ点に着目し、この規則性を活かすことで自動化を実現。手入力を一切介さずに2D図面から3Dモデルを生成できるようになり、これまで熟練工でなければ困難だった準備作業を、経験の浅いスタッフでも行えるようになりました。
生成した3Dモデルは「GyroEye」を使ってiPadやMRゴーグルで、AR(拡張現実)技術によって工場内に実寸大で表示して活用しています。
治具の位置やピンの高さだけでなく、船底形状を示す横断線までもARで重ねて表示することで、作業者は図面を頭の中で変換することなく、目の前の実物大の形状として直感的にイメージできるようになりました。
「見れば分かる」表示は、2D図面の読み取りに不慣れな外国人スタッフへの対応力向上にも直結しています。

船体ハッチの製造工程においても、実寸大の3Dモデルをその場で確認できる仕組みを活用しています。
実際の作業に入る前に作業性や問題点を事前に把握できるようになり、手戻りのリスクを未然に減らしています。
OCR×GyroEyeの導入により、現場には次のような変化が生まれました。
| 効果 | 内容 |
| 手戻りの削減 | AR表示で正確な配置を視覚的に確認でき、間違いを事前に防止 |
| 作業効率化 | 熟練工でなくても準備作業が可能に |
| 指示の明確化 | 作業長が不在の場面でも「見れば分かる」作業指示を実現 |
| ミスの防止 | 左右反転読み取りによって生じていたヒューマンエラーを解消 |
これまで属人的なスキルに依存していた工程が仕組み化されたことで、現場の技能伝承コストや教育負担の軽減にもつながっています。

AR機器を工場で運用するにあたっては、現場環境との相性も重要なポイントとなります。
イワキテック様の工場は溶接作業を行うため屋根付きの構造となっており、ARゴーグルを屋外的な環境で使う場合に懸念される雨や直射日光の影響を受けにくいのが利点です。
また空調はないものの換気構造を備えており、機器を快適に使用できる環境が整っている点も、現場への定着を後押ししました。
本取り組みで培われたAR技術は特許(特許第7146221号)を取得済みで、独自性の高い技術として社外からも評価されています。
また、BSテレ東の番組「アルバレスの空 未来に羽ばたく企業たち【最先端技術の導入で働き方が変わる】」でもその取り組みが紹介されました。(YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=7zI_4kMPoTE)